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2006年9月14日 (木)

都市について(何度目かの個人的な体験)

小島道裕さんが2005年に『戦国・織豊期の都市と地域』という書を出されているが
その中で、とてもわかりやすい都市の説明をしており、参考になる
小島さんは「都市をなんらかの機能が集中した地点、すなわち中心地としてとらえている」
それは本来は地理学の概念で、小林健太郎さんはそれを応用して、城下町形成過程の問題を考えているという
非常に的確に表現された文章が並ぶので、できるだけそのまま引用したい
「その機能とは決して一様ではなく、経済的なもののみならず、政治、宗教など様々なものがある。従って、地域の中で他とは異なる機能を持つ場所、「しるし付きの」集落、という以上の定義はおそらく困難であり、「都市的な場」という言い方がよく言われるのも、このためである」

曰く
「近世史の中井信彦は、遊びの日常化というユニークなとらえ方をしている」
「石井進は、都市を「ごく常識的に」と断った上で」「(1)人口の集積地で、(2)しかもいわゆる第2次、第3次産業、すなわち商工業や交通・運輸・金融業、そして「公務」等々に従事する人々が優越し、(3)広域的なコミュニケーションや交通のネットワークの中枢となっている集落」とした
「桜井英治は 歴史的景観復原に基づく分析を旨とする歴史地理の立場にも近い試みで、石井の定義を基本的に肯定しつつ、そこが中心地であることを最も重要なもの」とした
「集落自体に中心地機能が無い場合、人口が多く、商人が集住していても、それは「商村」で、都市として認識すべきは、彼らが出かけていって商いをおこなう、交易の場という中心機能をもった市場の方で」
「自治などの住民組織や領主との関係には、都市と農村の差を見いだすのは困難」


さすがに、実に奥が深く、しかも本質を突いた説明だと思う
「多彩な要素の集合体」「(地域における相対的な)中心機能」
これまでなんども言ってきたように、鋤柄のスタンスときわめて近いものだと思う
ゆえ鋤柄的な都市の見方もまたこの見方と同じ波長である
さらに、それを具体的に説明する方法のひとつとして
ソフトを使うことではなく、考え方としてのGISに注目していることも何度も書いてきたとおりである

それからこれも何度も言ってきたことだが、歴史的景観復原とはジオラマをつくるためのものではなく
臨場感のある歴史叙述をするための不可欠な研究で
そのベースになっているのが歴史地理的な考え方なのであると

あとがきによれば、小島さんは大学時代、歴史地理の見方と考え方に大きな影響を受けたというが
上手く表現できないが、歴史地理的な見方というのは、ある意味で
石井進さんが鎌倉や一乗谷などの風景にこだわったのも、まさにこの歴史家がもっている、とくにマクロ的な視野でミクロ的な臨場感ある叙述をおこなう時に、自然に生み出される根源的な感性ではないかと思う

服部英雄さんの著作に『歴史を読み解く』があるが、現代の風景の中から歴史の証人の痕跡を探し出し、それを史料におきかえて叙述を組み立てる
同じ現場のセンスだと思う

どうも、「都市」だけの問題では無いのだが、大きくふたつの見方があって
ひとつは、対象を分解・分類していくことでその対象の表現を求めるもの
もうひとつは対象に関わった様々な存在との関係でその対象の表現を求めるもの
後者の見方のひとつが、まさに「百姓は農業に携わっていただけではない」につながる

このふたつの見方は常にどこにでもあるもので、どちらかが正しいという問題ではなく
見方が違うということにすぎないのだが

先日、ひとまず書き上げた原稿を読み返しながら
鋤柄の場合は、小島さんや石井先生と同じ見方で都市を見ていると
あらためて思った

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コメント

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